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中国山地幻視行 ブログトップ
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中国山地幻視行~この暑さは異常・深入山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~この暑さは異常・深入山

 

 南登山口からの急登をしばらく我慢すると、稜線を渡る風が吹いてきた。道の先にはなだらかな、この山の頂が見える。その先に雲が浮かぶ青い空。それにしても暑い。ザックにつけた気温計を見ると35度から40度の間、真ん中よりは40度に近い。

 昨年は14日、今年は17日にこの山に登った。今年の暑さは異常だ。昨年も暑かったが、これほどではなかった。多少の余裕があったが、今年はそれがない。こんな日になぜ、と後悔の念がわき立つ。もし熱中症にでもなったら、シャレにならない。

 昨年と今年の違い、その2。花の数が違う。昨年はギボウシ、キキョウ、ササユリのほかナデシコやショウブ(アヤメ?)まで咲いていた。今年はギボウシ、キキョウ、ササユリは見かけたが、ナデシコやアヤメにはお目にかかれなかった。見かけた花も、ずいぶん数は少なかった。これも暑さのせいか。

 じりじりと陽を浴びながら、なんとか頂上についた。先客が男女人、後から男女人連れ。わが身を差し置いていえば、こんな日に酔狂なものだ。みんな弁当を広げ始めた。こちらは頭のてっぺんを焼く陽の強さに耐え切れず、頂上を越したところに立つあずまやに向かった。四方に壁のない小屋は、積雪期に来ると寒風を防ぎきれないので恨みたらたらだが、きょうに限ってはありがたかった。天からの陽を遮り、四方からの風を通してくれる。

 あずまやで昼食をすます。思った通りの快適さなのだが、なぜか誰も来ない。外へ出ると、ササユリに出会った。登る途中で2、輪。そしてここで輪。昨年よりも圧倒的に少ない。帰りは来た道を下った。帰りがけ、ポカリスエットを買いに寄った休憩所のおばさんが、下山中の姿を見て安堵したという。途中で熱中症にでもならないかと思ったのだろう。思わぬところで心配をかけてしまった。


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深入山の南登山口。ここから山頂は見えない

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このあたりから、やっと山頂(左手)が望める

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振りむけば、はるか下に林間の道

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山頂には数人

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山頂下にあるあずまや

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あずまやから山頂を望む

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ギボウシ

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ササユリ

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ウツボグサ

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キキョウ

 

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新緑の掛頭・臥龍を歩く~中国山地幻視行 [中国山地幻視行]

新緑の掛頭・臥龍を歩く~中国山地幻視行

 

 掛頭山(1126㍍)から臥龍山(1223㍍)へ向かう途中の小ピーク(1123㍍)を過ぎたあたりで、折れて朽ちた巨木を見た。ミズナラとブナの古木が新緑を競う中で、それは極めて異質に見えた。夏へ向かう周囲とは違った時間の流れが漂っているようだった。遥かな深い物語を見るものに投げかけているようでもあった。

 

 6月21日、梅雨の晴れ間に掛頭山から臥龍山を縦走した。広島県北広島町八幡の二川キャンプ場に車を置き、舗装道を土草峠まで歩く。よくよく見ないと見落としそうな小さな標識を手掛かりに林間の山道へと入る。眺望のない中を小一時間辛抱すると、アンテナらしきものが立つ広場に飛び出す。そこから立派な舗装道をしばらく下ると、スキーリフトが現れる。その辺りで右手のブッシュを探すと、掛頭山頂への道がみつかる。

 眺望のない掛頭山頂では、木製の標識が忘れられたようにたたずんでいた。辛うじて読める「臥龍山」の文字を手掛かりに細い山道をたどる。その山道を断ち切るように舗装道が交差していた。どちらへ進むか。しばらく考え、広い舗装道を選択した。ぶらぶらと20分ほど下ると、左手に「掛頭山」「臥龍山」と書いた標識。二つの山の鞍部を表している。再び、林間の道を行く。山道にしては幅があり、落葉が降り積もって歩きやすい。

 鞍部から1時間余りで臥龍山の頂に出た。巨岩を囲んで新緑が繁り、頭上には雲一つない青空が広がる。夏の空だ。しかし、気温は20度を少し上回る程度。稜線を渡る風が心地いい。頂から八幡高原まで一気に下る。振り返ると臥龍の山頂が夏山の趣でたたずんでいた。

 

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何を語るか、折れて朽ちた巨木

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Vの字型のミズナラ

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忘れ去られたような、掛頭山頂の標識

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臥龍山頂の頭上に広がる空

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下山後、振り返った臥龍山

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掛頭と臥龍の鞍部に立つ標識。「刈尾山」は臥龍の旧名。「かりょうさん」が「がりょうさん」になったという

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ハンゲショウ。半夏生、または半化粧と書く。半化粧は「おしろい」からの連想であろう

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カキツバタ

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コウホネ

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トキソウ

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中国山地幻視行~オオヤマレンゲは咲いていた・恐羅漢山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~オオヤマレンゲは咲いていた・恐羅漢山

 

 「この大きな岩の裏に回ってごらん」

 声をかけられ、裏手に回った。細い道をたどると複雑に組み合わさった岩場が現れた。ザックを置き、なんとか登り切ると別の声がした。

 「そこにあるよ。だけどまだつぼみだね」

 白いつぼみが鼻先にあった。周囲に枯れた花弁が二つか三つ。どうやら、この花は一斉に咲くのではないらしく、開花時期に時差があるようだ。

 「引き返してこの岩の下に回り込むと、ちょうど咲いているのがあるよ」

 その男性は親切に教えてくれた。

 岩の下に行くと、再び声がした。今度は女性が2、3人。

 「そこにありますよ」

 藪をかき分けると目の前にあった。

 「上にも、ね」

 見上げると2㍍ぐらいの高さの枝に花はあった。

 白い花弁の真ん中にめしべと、それを包むように薄いピンクのおしべがある。不思議な形である。白亜紀の裸子植物の面影を残すとも聞く。上部の枝にある花は、おしべが開き切っているように見える。いずれも下向きに咲いている。開花時期は短く、数日間らしい。花のかたちは先日見たホオノキと似ているが、ホオノキは上向きに咲く。

 付近には、釣鐘状をしたサラサドウダンの花も目に付いた。オオヤマレンゲとともに深山に咲く花である。

 梅雨入り宣言直後、晴れ間がのぞいた6月9日に恐羅漢山へ登った。目的はオオヤマレンゲを見ることであった。この花は、恐羅漢の山頂から30分ほどの位置にある旧羅漢山の山頂付近に咲く。ふだんは閑散としている旧羅漢は、この季節だけにぎやかである。



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深山にひっそりと咲くオオヤマレンゲ。姿に気品がある

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こちらのオオヤマレンゲは開花して時間がたっているようだ

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サラサドウダンも今が開花時期だった

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恐羅漢の山頂

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旧羅漢は恐羅漢より12㍍低い

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この日は晴れてはいたが湿気が多く、遠望はあまりきかなかった。正面左が臥龍山、右が深入山(恐羅漢の山頂から)
 

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中国山地幻視行~梅雨の来ぬ間に・窓が山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~梅雨の来ぬ間に・窓が山

 

 入梅宣言はまだない。朝から空は晴れ渡り、雲一つとてない。こんな日は山に登るのがいい。そんなわけで6月1日、広島市西部、広島湾に向かって屏風のように立つ窓が山に向かった。

 登山路はほぼ全ルート林間にある。この季節、蒸し暑いだろうと思ったら意外に気温は低かった。ザックに付けた気温計を見ると178度あたりを指していた。湿度も低いようだ。渡る風はひんやりとしていた。

 この山の山頂は大キレットを挟んで二つあるが、そのうち西峰に向かった。東峰よりこちらの方が高く、711㍍。山頂で一息ついたのち、少し下ったあたりの大岩に陣取った。手前の標識には「おんな岩」とある。いまどきセンスを疑われそうな命名。名前を変えたほうが良いと思うが、どこに言えばいいのか分からないのでそのままにしている。

 ちなみに、東峰に「おとこ岩」があるのかと思ったら、それはないようだ(見落としているのかもしれないが)。大岩はあるが、「八畳岩」という当たり障りのない名がついている(上部が平らで広いため、こうした名前になったのだろう)。

 話がわき道にそれたようだ。足元がすっぱりと切れ落ちたおんな岩からの眺めは、いつもながら絶景であった。特に、雲のない空が広がったこんな日は。

 

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まるで中空から見ているよう。通称「おんな岩」からの絶景

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おんな岩の先端に立つ。目の前は切れ落ち、足がすくむ

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おんな岩を登山路途中から見上げる

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標識が立っている

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息を切らして登っていると、木漏れ日に輝く白い花が目についた。ガマズミであろう

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登山路入り口の案内板

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大キレットを挟み、左が西峰、右が東峰。山はすっかり夏模様だ

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中国山地幻視行~新緑の中を・大峰山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~新緑の中を・大峰山

 

 風までも緑の色をしているように思える。新緑の中を歩いた。5月25日、大峰山。

 山頂から四方を眺めると、大きな白い花が目についた。目を凝らす。オオヤマレンゲでは。もしそうなら大発見、と思ったが、少し違う。しかし、花のかたちからして同じモクレン科の一つであろう。周囲を見渡したが、同じ花が咲く木はなかった。一本だけ独立して立っているようだった。

 広島湾方面を見渡す。かなり広い範囲で山の斜面が削られている。バブルのころ、レジャー施設があった山だ。施設は今、閉じられている。また何か造ろうとしているのか。痛々しい光景だ。

 登りも下りも、新緑から光の破片がこぼれるような中を歩いた。1年中でこの季節が山歩きには一番だ。車を置いた出発地点に戻るのが惜しい。そんな気分で歩いていると、路傍のアヤメが目に入った。どうやら梅雨が近い。
    ◇

 知人からメールをいただき、白い花はホオノキの花ではないかと教えてもらった。検索して確かめたが、葉のかたちを含め、そのようである。ありがたいご指摘であった。

 


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山頂近くにあった白い花

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モクレン科の一種だろうか

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山口方面を望む。新緑に勢いがある

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広島湾方面を望む。左手の山の斜面が大きく削られている

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いずれがアヤメ、カキツバタ…

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中国山地幻視行~主役は青い空・三倉岳 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~主役は青い空・三倉岳

 

 主役は、青い空であった。雲一つない空。おまけに日曜日とあって、山は混雑していた。5月20日、久しぶりの三倉岳。調べてみたら昨年の初秋10月以来であった。

 快晴とあって日差しは強かったが、林間の木陰に入ると空気が冷たい。湿度は低いようだ。急登を辛抱し、中岳までたどりつくと、後からどんどん人が押し寄せてきた。誰もが「すごいなあ」と感想を漏らしていた。こちらは何度も登っているので感激も薄れたが、初めて登る身には「すごい」景色らしい。確かに、大岩に立って見下ろせば、急崖に足がすくむ。

 中岳から夕陽岳へ向かう。ストックはザックに取り付け、革の手袋をはめた。長い鎖場があるためだ。前を行く若者が引き返してきた。「どうしたの」と聞くと、「怖いから」という。「大丈夫だよ。たいしたことはないから」と励ましたが「こういうのはダメなので」と引き返していった。残念だな、もっといい景色が待っているのに、と思ったが、引き留めるすべはなかった。

 夕陽岳の最も眺めのいい大岩は、幸いなことに空席だった。これほどの混雑なのに、幸運というほかなかった。早速陣取った。昼食の支度をしていると、頭上に飛行機雲が伸びた。西へ向かっている。定期航路のそれとは思えなかった。しばらくすると、別方向からもう一本。おそらく米軍岩国基地の訓練機であろう。青い空に一筋の白い雲が伸びるのは、きれいなものだ。こんなことを言うと反対運動の人たちから叱られそうだが。

 下山途中、5合目の大岩にも上った。降りがけ、白い花が目についた。シャリンバイのようだが、違うかもしれない。ご存知の方は教えてほしい。

 登山口まで戻って見返すと、山頂の上にはやはり朝方見たのと同じ青い空が広がっていた。

 

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中岳から。水田は田植えを待つばかりである

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大峰山。左右非対称の山である

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吉和冠。大峰山とよく似た山容をしている

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中岳から夕陽岳への鎖場。写真では分かりにくいが、垂直に近い急登が15分ほど続く

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中岳の特等席からの眺め

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西へ一本の飛行機雲

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見る間に別の飛行機雲。旅客機ではないようだ

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山口県の羅漢山。夕陽岳から

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5合目の大岩横に咲く白い花

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5合目の大岩。左側から巻くと簡単に登れる

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下山後も、三倉岳は青い空の下だった

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中国山地幻視行~連休の白木山、知人と出会う [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~連休の白木山、知人と出会う

 

 5月5日、白木山。快晴の予報で、しかも連休の真っただ中とあってふもとの道路沿いは既に駐車の列ができていた。その列の途切れたあたりに車を止めた。身支度をしている最中にも、追い越していく人たちがいた。山道は盛況だろう。

 いつも書くことだが、この山は登山道入り口から山頂まで、標高差が800㍍ある。その道をゆっくりと登った。追い越していく人たちが跡を絶たない。5合目を過ぎたあたりで気温計を見ると、20度を少し下回っていた。尾根を渡る風が心地よい、というより肌寒いくらいだった。湿度が低く木陰のためという事情もあったかもしれない。

 7合目の水場を過ぎ、山頂への最後の登りに掛かるころがこの山の最も苦しいところだ。胸突き八丁という言葉があるが、そんな感じだ。そのころ、後ろからひたひたと追ってくる登山者がいた。足を止め「どうぞ、先に行ってください」というと「○○さんじゃないですか」と声がかかった。振り返ると、職場の後輩だったS君である。一度この山に同行したことがある。職場にいたころは若いと思っていたが、数えてみればもう50代半ばのはずだ。いかにも元気そうな足取りなので、かまわず先に行くよう促した。それでもしばらく一緒に歩いたが、こちらが再度促すと先を行った。

 山頂では、最近の職場の様子を聞いてみた。いい方向には行ってないようだ。ただ、「僕らのころは…」といういい方だけはすまいと思いながら聞いた。厳しいとは思うが、頑張ってほしい。

 霞がかかり、中国山地は遠望がきかなかった。深入山、臥龍山、掛頭山がやっと判別できた程度だった。広島湾に目を転じると、やはり厳島が霞んでいた。

 下りはS君と二人で下った。道の中央にはサツキがくたびれた風情で佇んでいた。登山口に戻るとシャガの花が目についた。とてもきれいだった。

 

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白木山頂から中国山地を望む。中央あたりのとがった山が深入山、右へ臥龍山、掛頭山が判別できる。右下は山座同定のための案内板

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広島湾を望む。厳島が霞んでいる

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白木山頂から北西方向、可部の街並みを望む。左上に太田川

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山頂の芝生広場は気持ちいい

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5合目の少し上、山と山をつなぐ橋状の尾根道がある。風がよくとおる

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登山道入り口に咲くシャガ

 


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中国山地幻視行~寂地山・カタクリは咲いていた [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~寂地山・カタクリは咲いていた

 

 犬戻しの滝へ至る遊歩道の入り口に車を止め、身支度を整えていると夫婦連れらしい二人が登ってきた。ベンチに腰を掛け一息入れている風なので声をかけた。

 「カタクリはまだ咲いていますかね」

 「さあ、この間の土曜日に登った人は、ちょうど見ごろだと言ってました」

 きょうは4月27日、金曜日である。もう1週間も過ぎている。山口県の最高峰、寂地山(1337㍍)に咲くカタクリの花を目指してきたが、やっぱり遅かったか。そんな思いでこう答えた。

 「まあ、あまりあてにしないで登ってみます」

 今年はどの花も咲くのが早い。春になって気温が高めだからだ。桜もけっきょく時機を逸した。カタクリは例年だったら4月末、ちょうどいいころなのだが…。咲いてなくとも、新緑の山を楽しめばいいか。沢沿いの道に足を踏み出した。

 陳腐な表現だが、新緑が目に痛いほど鮮やかである。空の青とマッチして、やっぱりこの季節は山歩きに最適である。…つと、足元に落とした視線の隅に、濃いピンクが飛び込んだ。周囲には濃い楕円の葉が幾枚か。イワカガミである。季節が巡るのは早い。

 遊歩道を登り切り、長い林道を抜けると本格的な山道に入る。取り付きの急登を越え、鉢巻き状のトラバースで一息つくころ、ブナ林をくぐった清水が湧き出す箇所がある。脇に「延命水」と書いた標識。かすれて、やっと読める程度だ。手で受けると指先がかじかむほど冷たい水だが、のど越しはまろやかだ。

 緩い巻き道も終わり、山頂への直登になると、再び急登がやってくる。息を荒くして30分ほど我慢すると、頂上直下の平原が広がる。山頂へ向かう道と右谷山への縦走路の分岐が現れる。ここまで来ると、草原のあちこちに薄紫が散在するのが分かった。まだ咲いていたのだ。尾根渡りの風が強まった。肌寒い。ザックに取り付けた気温計は15度あたりだった。この低温がカタクリの花を延命させていたのだろうか。

 緩い斜面を登り、山頂を過ぎ、吉和冠へと向かう縦走路に足を踏み入れると、花は一段と鮮やかさを増した。



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寂地山のカタクリの花Ⅰ

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寂地山のカタクリの花Ⅱ

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寂地山のカタクリの花Ⅲ

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寂地山のカタクリの花Ⅳ

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寂地山のカタクリの花Ⅴ

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イワカガミ

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新緑の寂地山

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長い林道を抜けると…

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延命水。冷たくまろやかだ


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中国山地幻視行~腰痛ハイカー・吉和冠 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~腰痛ハイカー・吉和冠

 

 4月20日、吉和冠に登った。この山は昨年の5月以来である。気温は30度近く、路傍には小さな花が咲き、沢の音が絶えない。暑さを除けば気持ちのいい季節であり、心地よい環境であった。ところがなんと、高度を上げるにつれ、腰痛が再発した。雪解けの山道には倒木が転がる。それらをまたぐのも苦痛になってきた。どうしようか…と思いながらも頂上直下まで来てしまった。

 道に転がる杉の巨木に腰をかけ、しばらく考えた。ザックの上げ下ろしも、腰を伸ばしたままでないと難しい。引き返すべきか。しかし、ここから山頂まで30分とはかかるまい。ここまで来て撤退とはもったいない話だ。我慢するか。そう思い、再び歩き始めた。しかし、やはり腰痛が響いたらしく、30分では着けなかった。

 ようやくたどり着いた頂上から北東に目をやると、春霞はかかっていたものの先週登った恐羅漢山がよく見えた。気温は夏だが、それとは対照的に山頂付近の巨木は葉もつけず、無残な冬枯れを引きずっていた。一方、路傍にはスミレなど小さな花が咲き乱れていた。しかし、腰痛でかがむこともままならず、それらを写真に収めることはかなわなかった。ああ、情けない。

 

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山頂から麓の集落を見下ろす。蛇行するのは中国自動車道

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人気の山にしては珍しく、人と出会うことはなかった

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新緑、紅葉のころとは違った味わいを見せる老木

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老木のある風景Ⅱ

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よく見ると、枝先は芽吹いている

 


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中国山地幻視行~春まだ浅き・恐羅漢山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~春まだ浅き・恐羅漢山

 

 駐車場に車を止め、山頂付近を見上げると冷たい風が首の後ろを吹き抜けた。ゲレンデ斜面に雪はない。もう4月中旬である。念のため、カンジキとアイゼンは車に積んできた。よく見ると山蔭にはところどころ残雪があるようだ。思案の末、アイゼンをザックに詰めた。

 4月12日、恐羅漢山(1346㍍、広島県の最高峰)。例年、この山は3月下旬に訪れる。そのころなら、残雪期の終わりを味わえるからだ。今年は諸般の事情があり、半月遅れになった。そんなわけで雪のないゲレンデ脇をてくてくと登り始めた。

 やがて林間に入った。途端に山道を覆う雪が現れた。アイゼンを履くのもおっくうなので、恐る恐る雪の塊に足を乗せた。予想外に固く、そのまま進んだ。頂上手前の平原まで来ると、残雪が一面に広がった。ここだけは春まだ浅き、の様相だった。やはり、足が埋まることはなかった。先行者の足跡をトレースすべく探したが、見当たらなかった。最近の雨で消えたのかもしれない。

 山頂の標識周りには雪はなかった。日の当たり具合によるのだろう。冬季であれば高さ2㍍はある木の標識がほぼ雪に埋もれるのだが、やはりもう春である。山頂の標識は上から下までうららかな陽光を浴びて立っていた。

 結局、ザックに詰めたアイゼンは履くことなく下山した。


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恐羅漢の山頂手前。残雪に覆われたここだけは早春の趣だった

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西中国山地。臥龍山(正面左)と深入山(同右)を望む

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山頂に立つ標識。厳冬期にはこれが雪に埋まる

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スキー場を最上部から見下ろす

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帰途、見かけた桜。ソメイヨシノは終わったが八重は見ごろである


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中国山地幻視行~雪崩跡に悩む・深入山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~雪崩跡に悩む・深入山

 

 準備に手間取り出発は午前10時近くになった。予報は晴れだったが、うす曇りで小雪が舞っていた。山の天気は気まぐれだ。風はない。気温計を持ってこなかったが、おそらく氷点下だろう。雪面は固く締まっている。スノーシューは壊れているので、きょうはカンジキだ。サクサクと小気味いい音を立てて刃が雪に食い込む。1時間ほど、気持ちよく歩いた。
 ◇◆

 223日、深入山(1153㍍)。駐車場から見上げて、気になる箇所があった。雪崩が起きているらしく、ブッシュがかなりの面積で顔を出している。しかし、地形の関係で全体像が分からない。とりあえず、歩きやすい急斜面を登った。

 雪崩跡の上部に着いた。右手の斜面にはブッシュとまだらの雪面が混在している。雪崩の余波ともいうべき亀裂が行く手の斜面を横切っていた。近づくと、ギャップは人の背丈ほどある。亀裂の中はグサグサで、越えるのは困難に思えた。エベレストのアイスフォールのミニチュア版のようである。もちろん、亀裂の中に落ちたからといって脱出不可能ではないだろうが、カンジキをはいた足が途中に引っかかれば苦労しそうだ。

 そんなわけで、ブッシュがのぞく斜面にコースをとり、雪面とのギャップが少ない個所を探して登った。幸い、行く手の小ピークに近づくにしたがって、風が吹き付けるせいか雪は浅くなっているようだった。こうして、ブッシュとしばらく格闘の後、再び雪面に戻った。泥と草で滑る斜面から解放されたが、尾根筋に出たせいで今度は強風に悩まされた。しかし、小ピークを越えてこの山の頂上が顔を出せば、モチベーションも上がる。
 ◇◆

 冬季のこの山の魅力は、この小ピークあたりから眺めた山頂の美しさにある。青い空がバックにあればいうことはない。しかし、この日の頂の北西には、無残な傷跡が刻まれていた。ここにも雪崩の跡である。この山は毎年、冬に登っているが、これほどの雪崩跡を見たことがない。なぜこんなことになったか。

 推測するに、①今年は例年になく雪が多かった②その割に暖かい日が多く、寒暖差が大きかった③そのため融雪量も多く、溶けた水が積雪の下を流れて急斜面の雪を滑らせた―こんなことではないか。

 そんなことを考えながら、ひたすら、山頂への斜面を登った。雪崩跡のギャップと急斜面に悩んだため、到着は正午近くになっていた。
 ◇◆

 山頂付近は、予想に反して雪は少なかった。この山の頂は360度の展望がきく。その分、強風にさらされる。おそらく、日本海から直接くる。この風が積雪を阻んでいるのではないか。この日も、山頂付近に吹き荒れていた。あまりの寒さに、眺望を楽しむ間もなく帰途につかざるを得なかった。下山途中、小ピークから振り返ると、山頂付近には青空が広がっていた。

 

 

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このあたりまでは快調に登ってきたが…

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雪崩の上部はこんな感じだった
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雪崩跡から再び雪面に

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この岩を過ぎると7合目ぐらい。それにしても趣のある岩だ

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やがてピークが見え始める。積雪期のこの山の頂は美しい

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山頂から。左手に白く凍った聖湖が見える

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山頂から。中央やや左は恐羅漢山のスキー場

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山頂は思いのほか雪はなかった。強風のせいだろう

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山頂直下から小ピークを望む。ピークの左に夏道があるが、だれも通った跡がない

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下山途中に見た美しい雪紋。惜しいことに幾筋かの足跡があった

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小ピークから振り返った深入山の頂。青空が広がっていた

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中国山地幻視行~雪の山を眺めに・鈴が峰 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~雪の山を眺めに・鈴が峰

 

 北陸をはじめ、豪雪地帯では記録的な大雪のようだ。山形・肘折温泉では積雪4㍍だという。人間の背丈の2倍以上だ。現地で苦労している人たちには申し訳ないが、どういう状況なのか、想像もつかない。こちらはうっすら積もっただけで「雪だ、雪だ」と騒ぎ、交通機関にも影響が出る。

 212日の広島もそんな状況だった。今年はさまざまな都合で雪山に行けていない。せめて罪滅ぼしに雪の山を眺めに行くか、と裏山の鈴が峰(312㍍)に出掛けた。

 連休の最終日である。早朝から登る人も多いだろう、と思ったら、山道は薄く雪をかぶったままだった。足跡は一つもない。気分よくその上に一歩一歩足跡をつけていった。

 山頂には広場がある。すぐ下までたどり着いたとたん、弾けるような笑い声が聞こえた。女子高生か女子中学生らしい3人。そろいのジャージーを着ている。同じ学校らしい。広場に足を踏み入れた途端、別の山へと駆けていった。背後には朝日を受けてきらめく広島湾。そのまま踵を返して、隣の鬼が城山へ向かった。しばらくは鞍部への急降下だが、これが雪と氷でよく滑った。

 鬼が城山の頂。やや風があるが、日差しが心地よい。持ってきたむすびをほおばる。北に目をやると、正面に窓が山がよく見えた。白くかすんでいるのは、雪が舞っているからか。この分では明日も雪だろうな、と思いつつ、来た道を引き返した。


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薄く雪をかぶった山道に足跡はなかった

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途中の水飲み場には巨大なツララ

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鈴が峰山頂から見た広島湾

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鞍部の立ち木には雪の綿帽子

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途中の地蔵堂では、犬を捜す男性と出会った

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左端が、雪をかぶった窓が山

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鈴が峰山頂から見た広島湾


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中国山地幻視行~曽場ケ城山・戦国期に思いをはせ [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~曽場ケ城山・戦国期に思いをはせ

 

 時は、応仁の乱(14671477年)のころにさかのぼる。安芸の国も騒乱の中にあった。出雲から尼子が、周防から大内が勢力を伸ばし、覇を競った。当時、弱小勢力だった毛利元就は尼子についた。こうして尼子・毛利と大内が激突したのが鏡山城の戦い(1523年)である。元就はこのとき、謀略をめぐらして鏡山城を守る大内方に内部分裂を起こさせ、尼子に勝利を呼び寄せた。しかし、戦を終えて尼子は元就の知略を警戒、十分な報いをすることがなかった。このため、大内が反攻に転じると、元就は尼子を離れ大内についた。「仁義なき戦い」は、500年も前からあったのだ。

 このとき大内が反転の拠点として築いたのが曽場ケ城だった。しかし、曽場ケ城山はあまりに急峻であったため(本丸にたどりつくこと自体が登山なのだ)、平時に使われることなく、しばらくして廃城となった。なお、大内と毛利の中国地方の覇権争いは1555年の陶晴賢vs.元就の厳島の合戦で決着する。

 

 118日、広島県のほぼ中央部に位置する曽場ケ城山(607㍍)に登った。登山口からの標高差350㍍。数字上はさほどではないが、長い稜線とアップダウンを繰り返し、山頂に着いたのは2時間後だった。山城があったのは1500年代前半のことだから、今はもう何もない。主だったところに簡素な標識があるばかりである。

 城郭跡はないが、三の丸、二の丸、本丸跡の標識を見ながら小高い丘を一つずつ登れば、戦国期の城攻めの気分に多少とも浸れるというもの。特に、本丸跡からの西条盆地の眺めは雄大である。500年前の武将もこの景色を見たかと思えば、感慨深い。

 この本丸跡が山頂かと思ったらここは標高577㍍。いったん鞍部に降りて登り返した先に山頂はあった。「曽場ケ城一ツ城跡」の標識が立ち、出城があったことがうかがえた。ここから先は下山路。急な下りがしばらく続く。林間を1時間ほど我慢すると、西国街道(旧山陽道)の大山峠に出る。かつては西へ行くにも東へ行くにも、この峠を越えたらしい。ここからはほぼ平らな道で、しばらくすると舗装道に出た。

 戦国期に思いをはせ、趣ある山行だった。

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登山口から10分ほど歩くと巨大な「戦没者供養塔」に出くわす。製作は大変だったと思われるが、由来などはわからない

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登山道にはこのような石仏が散見される

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二の丸跡。意外に狭い印象だった

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本丸跡からの風景

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曽場ケ城山の頂からの風景

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山頂には立派な標識があったが、惜しいことに朽ちていた

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大山峠の説明板。吉田松陰も高杉晋作もここを通ったと書いてある

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大山峠からの下り道。旧山陽道である

 


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中国山地幻視行~今年初登りは石段2000段・宮島弥山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~今年初登りは石段2000段・宮島弥山

 

 前回登ったのが11月下旬だから、まだ1カ月半しかたっていない。しかし、このところ年初めの山登りはここと決めているので、多少気はひけるが宮島・弥山(535㍍)の山行を紹介する。文章もだが、写真も申し訳ないほどこれまでと同じである。

 11月下旬は紅葉をめでることが主眼だったため紅葉谷コースから上がったが、今回は大聖院コースを選択した。山頂まで約3㌔、石段2000段という【注】。たかだか500㍍余の山だが、海抜ゼロ㍍からの、ひたすら登りのコースである。途中には仁王門がある。2004年の台風で土石流が海岸沿いの重伝建地区を襲った際、山腹にあるこの門も大きな被害を受け、2012年に再建された。門の左右にある阿吽一対の仁王像は台風被害の際も奇跡的に生き残ったと聞く。したがって門自体はまだ新しい。

 16日の天候はまずまずだった。気温はやや低いが、汗が噴き出す。土曜日ということもあろう、登山者は多い。中には革靴の人も。さすがにこのくらいの山だと、平地仕様のいでたちではしんどいと思われる。

 山頂まで2時間足らず。早速展望台に登る。中国山地の方向、奥は山が白くなっている。昨日は少し冷え込んだので、雪が降ったのであろう。対照的に広島湾は春の日差しを浴びて輝いていた。いつもは、一度は遭遇する岩国基地の米軍機低空飛行も、この日はなかった。のどかである。

 下山途中で立ち寄った駒が林の大岩も盛況であった。
【注】廿日市市観光産業部観光課HPによる


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朝日に映える大鳥居


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厳島神社にも朝日が注ぐ

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修復され、真新しい仁王門

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弥山の山頂

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山頂の展望台から広島湾を望む

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戦国時代、陶晴賢の最後の兵が立てこもった駒が林の大岩も大賑わい(弥山頂上から)

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水掛け地蔵は山頂手前、最も苦しいところにある

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下山途中の展望台から

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大聖院のすぐ上、白糸の滝の近く、野ざらしの地蔵さんが数体

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大聖院コース(廿日市市観光産業部観光課HPから

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中国山地幻視行~侮れない山並み・牛田山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~侮れない山並み・牛田山

 

 広島の市街地は太田川によってつくられたデルタの上に広がる。その東西には低いながらも山が屏風のようにそびえる。西は鈴が峰、東は牛田山を中心にした山群である。日頃よく登るのは鈴が峰だが、今回牛田山に挑戦した。

 広島駅を起点に二葉山(139㍍)、尾長山(157㍍)、牛田山(260㍍)を経て住宅街に下り、アストラムライン(高架軌道の交通システム)を使って市街中心部に向かう。尾根を伝い約6.5㌔、3時間余りのコースである。

 最近、再開発が進む広島駅周辺。真新しい街並みを進み、広島東照宮の境内を抜け、鳥居のトンネルをくぐると階段状の急登にかかる。30分ほどで二葉山山頂の仏舎利塔。高さ25㍍ほどの巨大な塔で、広島駅からもよく見える。そこからいったん住宅街に下り、急登を登り返す。ここは結構しんどい。しばらく我慢すると尾長山の山頂。何もないが、振り返っての展望はこの縦走路で最高である。二葉山越しに、広島市西方にそびえる大峰山や大野権現山が望める。広島湾の島々も午前の日差しに輝く。

 尾長山から牛田山まで、整備されているが長い尾根道を1時間余り縦走する。枯葉を踏み、階段を上り、着いた山頂はベンチもある広場だった。ここからは、高層ビルがそびえる広島駅周辺から二葉山、尾長山と、歩いたコースが一望できる。眺めがよく、山頂もある程度開けているため、戦国時代には山城があったらしい。

 一休みすると、尾根を伝って下りにかかる。1時間ほど歩くと、金属製ゲートに突き当たる。イノシシ除けだという。カギはないので手で開けて市街地に降り立つ。あとはアストラムの駅に向かうばかりだ。たかだか標高200㍍前後の山並みである。しかし、この眺望と山歩きのハードさは、なかなかのものだった。


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広島駅から二葉山を望む。山頂付近に仏舎利塔

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広島東照宮の参道にある鳥居のトンネル

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二葉山中腹から広島市街地を望む

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仏舎利塔。平和塔ともいう。大仏はどこかの国から寄贈されたという

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尾長山からの眺め。正面遠方は大峰山。手前は二葉山

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赤い実はタマミズキ(玉水木)

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牛田山から。高層ビルの立つあたりが広島駅界隈。そこから二葉山を越え、左の尾長山に取り付き、尾根伝いにここまで来た

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登山口(下山口)には金属製のゲート。住宅街にイノシシが入り込まないための措置

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アストラムの駅から、牛田山の稜線を望む

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二葉山、尾長山、牛田山の散策マップ


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中国山地幻視行~思わぬ雪・大峰山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~思わぬ雪・大峰山

 

 12月9日、大峰山。登山口に近づくにつれて、舞う雪が濃くなった。路面も白くなり始めている。確かに、東日本から北海道にかけて寒波が襲ってはいるが、西中国山地まで雪化粧になろうとは、予想していなかった。したがって、雪に備えた装備もしていなかった。引き返そうか…弱気の虫が頭をもたげた。

 登山口に着いたとたん、日が差した。まるで山が「おいで、おいで」といっているようだ。とりあえず、薄手のフリースの上にレインウエアを防寒用に着て、山道に足を踏み入れた。こんな日に山に入ろうという酔狂は珍しいらしく、登るにつれ雪が深まる山道に足跡はなかった。午前の日差しがまっさらな雪面を照らしだした。見とれていると、後ろから夫婦連れらしい二人が追い付いてきた。さらに若い男性が軽快に追い抜いていった。結局、この日出会ったのはこの三人だけだった。

 山頂は、降る雪のせいか眺望はなかった。広島湾が日差しを受けて鈍く光るのが、わずかに確認できた。

 登りよりも下りが大変だった。この山は結構な急登だが、その道が雪と泥濘で覆われている。腰を引き引き下ったが5、6回は足をとられた。おかげでズボンは泥だらけ。しかし、久々の山行である。気がつくと鼻歌を歌いながら斜面を下っていた。

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登山口近くにあった南天の実。雪をかぶって寒そうだった

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まっさらな雪面を朝日が照らす

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山頂から広島市方面を望む

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鈍く光る広島湾。広島・山口県境付近

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雪でかすんだ山口方面を望む

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中国山地幻視行~宮島・弥山は国際色豊か [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~宮島・弥山は国際色豊か

 

 紅葉谷公園から登山道に取り付き、日当たりの悪い石段を登るとロープウェイの終着点から山頂へと延びる舗装された明るい道に合流する。ここまで来ると、ハイヒールやミニスカートの女性もいる。横を歩いていた若い女性のグループが何やら笑いながら話している。「○×▼◆□…」。日本語ではない。外見は日本人そのものなのだが。

 山頂に着いて周りを見渡すと、外国人が多い。欧米人、アジア系、ヒスパニック系…。日本人の方が少ないぐらいだ。その日本人に見えた人たちも、会話を聞いていると日本人でないことが分かる。中国系、台湾系、韓国系…。近年、ますます国際色が豊かになってきたようだ。これもworld Heritageの威力だろうか。

 11月21日、船で宮島に渡り、紅葉を楽しんだ後、弥山(535㍍)に登った。下山は大聖院コースをとった。晩秋の日差しに、紅葉が最後の輝きを放っていた。

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大聖院そばの紅葉

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大聖院入り口付近の大イチョウ

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千畳閣と五重塔の下にある大イチョウ。千畳閣は秀吉が建立したとされる

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下山途中の展望台から

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弥山の山頂

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弥山の展望台にある地図。紅葉谷ルート(右側の緑色)を登り、大聖院ルート(中央のオレンジ色)を下った

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中国山地幻視行~美は乱調にあり・佛通寺の紅葉 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~美は乱調にあり・佛通寺の紅葉

 

 1115日、三原の佛通寺を訪れた。

 見たところ、紅葉はピーク過ぎて枯れ始めと思った。その印象を若い僧侶にぶつけてみた。僧は、私の言葉を肯定しなかった。「紅葉は木によって時期が違います。よく見ればまだ緑のものもあります。既に盛りを過ぎているというのは、適当ではありません」。こんな答えだった。そうか、紅葉は桜とは違うのだ。桜は一斉に咲き、一斉に散る。そこに美学を感じる人もいる。しかし、紅葉はそうはならない。それぞれの木が葉を紅く染め、それぞれに枯れ、散っていく。そこに美学がある。乱調の美学である。

 平日というのに、寺の周辺は人であふれていた。紅葉の見ごろということだろう。しかし、「見ごろ」とは何だろう。ヒト社会の時の流れと自然界の時の流れ。先の僧の投げかけた言葉によって、考えなくてもいいことを考えてしまった。


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タグ:紅葉 佛通寺
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中国山地幻視行~牛曳山から毛無山へ [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~牛曳山から毛無山へ

 

 心がざわつく景色がある。晩秋の山。紅葉は既に盛りを過ぎ、冬の到来を待つ白樺の林。日の影が長く伸びて、枯葉降り積む山道。何が心を揺らすのだろう。

 11月6日、比婆山連山の一角、牛曳から毛無を歩いた。1024日、この地を訪れた時には「紅葉にはまだ早い」とアドバイスを受けたコースである。ちょうど2週間が過ぎた。早くはなかった。というより、もう遅かった。白樺の紅葉はすでに終わり、ブナの黄葉がわずかに秋を物語っていた。

 それでも、歩くたびかすかな音を立てる枯葉の道は、人のぬくもりを宿しているようで心地よかった。牛曳の頂まで2.5㌔、1時間強でたどり着くと、あとは縦走路である。伊良谷山までは起伏が少なく、30分ほどで着ける。そこから、やや深い谷を駆け下りて登り返す。1時間足らずで毛無の山頂に立てる。

 同行者が指さす方向に、巨大な山塊が見えた。大山である。思ったより近い。先日「初冠雪」のニュースが流れたが、もう雪は消えたようだ。白く見えるのは、砂走であろう。

 毛無山頂で昼食を終えると、六ノ原までの下りルートを通った。出雲峠への分岐を過ぎると、紅葉が再び色を濃くした。午後の日差しが、去りゆく秋を演出した。

 

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落葉を踏んで山に入る

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白樺はすでに落葉していた

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もみじが逆光に映える

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つづら折りの道を行く

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紅葉。風雅なたたずまいである

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山道の横には、枯れそうで枯れない小さな滝がある

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牛曳の山頂は近い

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伊良谷山頂から、大山が意外に間近に見えた

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毛無から縦走路を振り返る

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毛無山頂。見上げれば秋の雲

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出雲峠への分岐を過ぎると、紅葉が濃くなった

 

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中国山地幻視行~不思議な山名と錦繍をまとって・鯛ノ巣山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~不思議な山名と錦繍をまとって・鯛ノ巣山

 

 秋晴れの1031日、「鯛ノ巣山」という不思議な名前の山に登った。広島県に近い島根県にある。1026㍍。紅葉が楽しめるのでは、と思ってのことだ。

 山名の由来について、確たる説はないようだ。ふもとの奥出雲は陰陽の物資の集積・中継地点に当たり、日本海側の魚が集まってくる―即ち「鯛の集(す)」の地域ということから、という説が有力なようだが、定説ではない。

 ほぼ独立峰で登山口は標高450㍍。頂上までの標高差は600㍍弱で、結構な急登である。登るにつれ深さを増す紅葉と黄葉が唯一の励みである。途中の眺望はあまりない。それでも9合目あたりから水平な尾根道に変わり、黄葉の「ゴールデンゲート」が続くと、心も浮き立つというものだ。

 頂上付近は、おそらく地元の人の奮闘の結果であろう、雑木がきれいに刈り込んであった。眼下に奥出雲の山里が広がる。その向こうに、海と半島。宍道湖と中海であろう。右へ、つまりは東へ目を転じると大きな山塊がうっすらと見える。大山である。翌日知ったことだが、この日の大山は初冠雪だったという。

 頂上から南方向へ300㍍移動すると「弁当大岩」というこれまた不思議な絶壁がある。おそらく、景色がいいので昔はここで飯を食った、という意味であろうか。これも、山名同様、心もとない推理である。しかし、名前の由来はともかく、正真正銘の絶景であった。向かいには広島県側と思われる山(猿政山であろうか)が屹立し、足下の谷間を道路が縫っている。国道432号と思われる。そしてこの山、鯛ノ巣山のきらびやかな錦繍の衣が谷へ向かってなだれ込んでいた。

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あと少し、急登が続く

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山頂への尾根道はゴールデンゲートが続く

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大山の山塊が浮かび上がる。山頂から

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眼下に広がる奥出雲の山里。山頂から

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広島県側の山並み。「弁当大岩」から

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日差しに映える紅葉。「弁当大岩」から

 


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中国山地幻視行~偶然の出会い・比婆連山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~偶然の出会い・比婆連山

 

 池の段まで、あと30分か。そう思いながら、登りの山道を詰めていた。数人が下ってくる気配がした。「asaちゃん?」と声がする。そんな呼び方をされたのは、久しぶりだ。驚いて顔を上げると、懐かしい顔があった。写真部にいたKさんである。数人を連れていた。Kさんは退職後、写真塾を開いている。そこの塾生さんたちだった。紅葉の比婆連山を撮りに来たらしい。二、三の言葉を交わし別れた。もっと話をしたかったが、塾生さんたちの手前、遠慮した。Kさんは塾の写真展を定期的に開いている。案内状をもらっていたが、忙しさにかまけてつい行かずにいた。今度、ぜひいってみよう。

 Kさんとの出会いは全く偶然だった。六ノ原に車を置き、毎年のように県民の森公園センターに紅葉の進み具合を聞いた。腹づもりとしては、途中に白樺林がある牛曳山~毛無山があった。今年は全般に紅葉が早いといわれており、ちょうど見ごろでは、と思ったのだ。ところが「全然、早くないですよ」という。それならと、比婆山~池の段にコースを変えた。池の段あたりが見ごろという。こんなやり取りと、コース変更がなければKさんと出会うことはなかっただろう。

 池の段と立烏帽子のホツツジは紅葉の真っ盛りだった。残念だったのは終始重苦しい雲が垂れ込め、太陽が顔を見せなかったことだ。天候さえよければもっと鮮やかな赤が楽しめたに違いない。


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烏帽子山から紅葉の比婆山を望む

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天然ブナの林間を行く。台風のためであろう、落葉が多かった

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紅葉のホツツジと立烏帽子山

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ホツツジと比婆山

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錦繍をまとった池の段


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中国山地幻視行~世の中いろいろ・三倉岳 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~世の中いろいろ・三倉岳

 

 暑いなあ…そう思って足元に目をやったとたん、ぽたりと汗が滴った。

 10月も中旬に入ろうかというのに、気温は30度近くあるだろう。風はない。

 体育の日の9日、三倉岳に登った。昨年の体育の日も三倉岳だった。なぜか、体育の日はこの山と連想が働くらしい。そして、昨年も人が多かったが、今年はさらに輪をかけて登る人が多かった。

 中岳の頂は8畳敷きほどの細長い形状の大岩だが、そこもいっぱいだった。おちおち、座って休むこともできないほどで、みんな立って周りの景色を楽しんでいた。

 西岳で昼食を済ませ、下りの5合目にある大岩から山頂を見返した。岩の下で、下ってきた男女二人連れに声をかけると女性が大岩に登り、男性がその姿をカメラに収めた。続いて降りてきた男女は男性が登り、女性がカメラに収めた。世の中いろいろだ。

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中岳の大岩は満員だった

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西岳の大岩から

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麓の田は実りの秋

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西岳山頂付近。紅葉はまだ早いようだ

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5合目の大岩のてっぺんから山頂を振り返る

 


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中国山地幻視行~窓が山・キレットを渡る [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~窓が山・キレットを渡る

 

 久しぶりにキレットを渡った。といっても、槍穂のそれとは比ぶべくもない。しかし、キレットはキレットである。

 9月30日、窓が山。この山名の由来にはいろんな説がある。山頂に巨大なキレットがあり、それゆえに「窓」と名付けたというのもその一つである。巨大なキレットがあるとは、山頂が二つあるということでもある。この日はまず西峰、そしてキレットを渡って東峰に着いた。二つのピークの間は巨岩あり、鎖ありで結構変化に富んでいる。

 最初の西峰には、ピークに大きな岩がある。その上には雲一つない秋の空、眼下には逆光をちりばめた市街地、その向こうに広島湾と島々があった。最近になく澄んだ遠望であった。しかし、四国山地が確認できるほどの清澄さは、この日はなかった。

 東峰に着いたのは、午前11時を少し回ったころであった。だれもいなかった。快晴の日の週末としては、意外であった。そのうち、男性が一人。すぐに下りていった。続いて母子3人連れ。ひとしきり景色を楽しんだ後、昼食の準備にかかった。つられてこちらもザックを開いた。

 ひと時の休憩を終えて、さあ帰途につくか、と思ったころ、数人のグループ。眼下の光景を見ながらひとしきり語り合っていた。秋の日は釣瓶落としという。背中を押されるように下りにかかった。

 

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窓が山西峰の山頂。この岩の上に立てば、広島湾が眼下に広がる

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西峰からの眺望。四国は見えなかった

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キレットに立つ巨岩。モアイ像のような風貌

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山はこんな形をしている

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中国山地幻視行~双耳峰を楽しむ・恐羅漢山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~双耳峰を楽しむ・恐羅漢山

 

 旧羅漢山からの復路を登り返した先には、青い空が広がっていた。山頂の広場には最近新調したらしい標識がたち、周囲には10人ほどのグループがいた。リーダーらしき人がひとしきり話をすると、そのまま下りていった。続いて、若い男女3人ずつのグループ。楽しそうに昼の宴を始めた。

 924日、広島県の最高峰・恐羅漢山(1346㍍)に登った。天気のよさにつられ、そのまま旧羅漢へと向かった。この山はなだらかな山容の双耳峰である。旧羅漢は恐羅漢より12㍍低い。たったそれだけの標高差のゆえに旧羅漢は訪れる人も少なく、無聊をかこっている。そのためか、森は深く山道はぬかるみ、山頂付近の眺望もきかない。往復しても1時間足らずなのだが。

 こうして往復した後が、冒頭の光景である。天気は良かったが、先日の大峰山と同じく霞がかかって遠望がきかない。空の青さと秋の雲の流れだけが際立っていた。

 降り際に、旧羅漢への道筋で出会った男性に聞いてみた。旧羅漢で眺望のきく場所は。ありますよ、と返事があった。山頂から5分ぐらいですかね、という。そして、周囲には大山蓮華が咲くという。聞いてみるものだ。今度は6月に訪れてみよう。


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恐羅漢山頂の上に広がる秋の空

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旧羅漢への道はうっそうとしていた

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旧羅漢の山頂。恐羅漢より12㍍低い

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秋丁字。木の陰に咲いていた。シソ科である

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西中国山地の山々はかすんでいた

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中国山地幻視行~曼珠沙華を見に・大峰山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~曼珠沙華を見に・大峰山

 

 一陣の秋の風が吹くと、赤い花が脳裏に浮かぶ。曼珠沙華である。路傍を赤く染める花。撮るのはなかなかむつかしい。

 9月21日、曼珠沙華を見に大峰山(1050㍍)に向かった。咲くのは登山路ではなく、ふもとの田園地帯である。果たして、曼珠沙華は咲いていた。黄色く色づいた田のあぜ道に赤いラインを引くかのように。しかし、早めだったのか、染めるというにはおぼつかない。毎年白い曼珠沙華が咲くあたりにも目を凝らしたが、見つけられなかった。早かったのか、それとも今年は咲かなかったのか。

 息を切らして山頂の大岩をよじ登ると、地元の男性らしい二人が談笑していた。声をかけると、一人が「今日はいい天気でしょう、こんな天気は滅多にない」と笑った。「もっと空気が澄んでいれば、四国まで見えるのにね」という。広島湾の方角に目をやると、たしかに湾内の島々は見えるが、その向こうはかすんでいた。天気が良すぎて気温が高いせいか。

 しかし、西方や北方に目をやると、めぼしい山がそれぞれ確認できた。比較的よく行く三倉岳、特徴ある山容の吉和冠…。360度の展望を楽しんだ後、周り縁にも寄った。路傍のササが腰まで伸びていた。この往復路は、途中で崖の縁を歩くところもある。刈ってあった方が事故は起きないだろう、と勝手に念じる。

 周り縁から八畳岩に向かい、振り返った山頂の上には、まぎれもない秋の空が広がっていた。

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曼珠沙華。彼岸花ともいう

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天空の目のような景観が楽しめる

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広島湾に浮かぶ島々

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裏から見た三倉岳

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表から見るとこんな感じ(6月9日撮影)

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山頂の大岩の上に広がる秋の空

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中国山地幻視行~ガスの中の大山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~ガスの中の大山

 

 2014年4月以来だから、ほぼ3年半ぶりである。9月13日、3日間の晴れマークを確認して、鳥取の大山へ向かった。大山寺近くのキャンプ場駐車場に車を止め仮眠。翌朝、日の出とともに起きだし、真っ先に頂上付近に目をやった。朝日が北壁の上部を照らし、ガスはかかっていない。

 まずはコーヒーを一杯。身支度にかかった。思えばここ数年、山に行く機会がめっきり減った。体力はどれほど残っているだろうか。大山は、それを測るバロメータでもある。

 5合目を過ぎたころ、ブナ林が切れて北壁が姿を現した。朝日が当たって、陰影が見事だ。しかし、ふもとからはガス。みるみる山頂へと駆け上る。あれが頂上を巻く前に着きたいものだ、と気は焦るが足が前に出ない。亀の歩みだ。この3年半の間に、つるべ落としのように体力は削がれていた。その現実に愕然とする。

 8合目を過ぎ木道にかかるころ、あたりはすっかりガスの中だった。最後の登りを登り切り、頂上の石碑付近に腰を下ろす。この山の実質の頂上である剣ヶ峰も、島根半島の弓ヶ浜も、まるで見えやしない。天空には青い空があるが、この付近にだけ白いガスが流れている。

 それでもしばらく待った。人は多かったが、三々五々、木道を伝って下り始める。こちらも長居はできない。下り始めたころ、やっとガスの切れ目から弓ヶ浜が望めた。全くこの山はベールが好きだ。山頂から日本海が望めるのは3回に1回というところか。



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山頂付近に朝日が当たっていい感じだったが…

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北壁をガスが這い上ってきた

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頂上小屋はガスの中

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剣ヶ峰への縦走路には、分かりやすい看板が立っていた

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弥山にある「大山頂上」の碑。毎年ここで山開きの神事があるので山頂と認知されているが、実際は剣ヶ峰がここより約20㍍高い

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下り始めたころ、ガスの切れ目に弓ヶ浜

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登山口から頂上まで標高差900㍍、3㌔を登る。急登である

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フウロはあちこちに咲いていた

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思いがけず、トリカブトも

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ミヤマコゴメグサ


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中国山地幻視行~晴れた日には日本海が見える・岩樋山/道後山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~晴れた日には日本海が見える・岩樋山/道後山

 

 広島県の東北の県境にあるこの二つの山は、なだらかな草原で結ばれている。その中を歩くと、さながら雲上のプロムナードである。標高でいうと、実は岩樋山(1271㍍)の方が道後山より2㍍高い。しかしなぜか、一般には道後山のほうが知られていて、岩樋山は前衛峰の扱いをされることが多い。山容といい眺望といい、二つの山はどちらも引けを取らない。岩樋山は不当な扱いを受けていると、つくづく思う。

 9月4日、中国自動車道を庄原インターで下り、1時間足らずで岩樋山直下の駐車場に着いた。ここで既に標高1000㍍を超している。登山口へ向かう途中、目の端に薄紫の集団が飛び込んだ。マツムシソウの群生である。数日前、深入山であれほど探して見つからなかった花が、今を盛りと咲き誇っていた。とっくに終わったと思っていた花が、ここではそうではなかった。

 それからの山道は、マツムシソウに覆われていた。もう一つ、競演する花があった。イヨフウロである。小さな花が咲き乱れていた。ところどころ白い斑点のように存在感を示すのは、ホソバノヤマハハコグサであろう。

 直下の急登を登り切ると、岩樋山のなだらかな山頂に立てる。東には道後山が望める。北東へ目を転じると、ひときわ大きな山塊。大山である。さらに北には、はるかなきらめき。日本海であろう。

 ここからはもう、急登はない。なだらかな草原を歩く。左手には常に大山がある。

 道後山山頂で一人のハイカーに出会った。すぐ下に「大池」という湿地帯に囲まれた池があり、サワギキョウが咲いているという。昼食もそこそこにして向かった。山道を外れ湿地帯に足を踏み入れると、確かにサワギキョウの群落があった。キキョウというには少し変わった、細長い花弁。紫の色だけが、キキョウを思わせる。

 二つの山を巻いて、駐車場へと戻った。午前には雲があった空は、さわやかに晴れ上がっていた。

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岩樋山の山頂から。大山の山塊が目を引く

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北には日本海のきらめき

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道後山へと続く雲上の散歩道

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道後山の山頂から大山を望む

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道後山直下にある「大池」
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マツムシソウ
 
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イヨフウロ

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ホソバノヤマハハコグサ

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ウツボグサ

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サワギキョウ

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ムラサキツメクサ

 

 


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中国山地幻視行~深入山・山頂には秋の風 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~深入山・山頂には秋の風

 

 急登を終え一息ついたころ、風がほおをなでた。首筋に照り付ける日差しは夏のままだが、風は秋のそれだった。夏の午後のアスファルトを踏んで我が家にたどり着き、エアコンの涼風にほっとする。そんな感じだった。見上げるとなだらかな稜線の向こうに青い空が広がった。雲はなかった。

 8月30日、深入山。この山は先月も訪れた。その時に見損なったマツムシソウが目当てだった。しかし、薄紫の花はほとんど見ることができなかった。わずかに数輪、夏の残骸のようにひっそりと日陰に咲いていた。おそらく開花期は過ぎたのだろう。キキョウもまた、思ったほどではなかった。

 それでも山頂を吹きわたる風と、はるかな稜線と青い空がこの日の収穫だった。

 

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急斜面を越えて一息つくころ、青い空が広がった

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山頂に秋の風が吹きわたる

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枯れ木がオブジェのように

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ススキの季節だ

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下山して仰ぎ見ると、飛行機雲が一筋

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ミヤマママコナ

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ツリガネニンジン

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キキョウ

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ゲンノショウコ

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マツムシソウ

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オミナエシ

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アザミ



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中国山地幻視行~ちぐはぐな一日・白木山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~ちぐはぐな一日・白木山

 

 南ア・鳳凰小屋で関東から来たという女性と話していて、広島で訓練登山の山として知られるのはどこですか、と聞かれた。話しぶりから広島に住んでいたことがあり、若干の土地勘があるようだった。そこで「白木山(889㍍)」を上げた。広島市北方の近郊(安佐北区)にあり、登山口から山頂までの標高差は800㍍。鳥取の大山(大山寺から標高差900㍍)に引けを取らぬ数字であり、近くの高校や大学の登山部、ワンゲル部もトレーニングに使っている。北アや南アを目指す人の中には、一日2、3回登るつわものもいるようだ―。おおむねこんな話をした。

 そんなわけもあって、白木山に登った。

 早朝、車で向かう途中、忘れ物に気が付いた。カメラである。このブログを書き始めて初めてのことだ。引き返すか。しかし、既に登山口近くまで来ている。結局、カメラなしで登った。このブログに限り、掲載した写真はスマホで撮ったものである。

 平地は晴天だったが、近づくと白木の山塊はガスで覆われていた。よからぬ予感がした。そのとおり、登山路を歩き始めると湿度の高さに皮膚が耐えかね、汗が噴き出した。湿度計がなく計測のしようがなかったが、かなりの高さと思われた。しかし日差しは強く、林間の道を、影を求めて歩いた。

 山頂に着いたころ、雲行きが怪しくなった。見上げると黒い雲が走っていた。握り飯をほおばっていると、小さな雨粒が落ちてきた。この程度ならと、そのまま打たれた。ところが雨粒は急に大きくなり、あっという間にわが身とザックをずぶぬれにした。近くの避難小屋に逃げ込むべく、いったん広げた小道具を大急ぎでザックに詰めたとたん雨はやみ、日差しがかっとあたりを照らした。

 カメラの忘れ物に端を発して、ちぐはぐな一日であった。こんな日はせめて無事故であったことを僥倖(藤井聡太四段が使っていた)と思うことにしよう。

 

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大粒の雨の後、再び夏の日差し。右の構築物は山頂の展望台

 


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中国山地幻視行~深入山のショウブ [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~深入山のショウブ

 

 山を下り、休憩所でアイスクリームをなめていると「山野草の季節になりましたね」と、店番の女性から声をかけられた。「この山は種類が多いですからね」と答えた。

 名も知れぬ小さな花を見に、暑いさなか深入山(1153㍍)に来た。そんな楽しみでもなければ、木陰などない山道を歩く気にはならない。

 緑は濃かった。巨木に「南登山道」と刻まれた標識のそばに「熊出没注意 危険」の看板。気温32度。ウツボグサが足元に咲いていた。房状の白い花はオカトラノオであろう。山道の両側にはキキョウも咲くはずだが、早かったようだ。高度を上げると、ササユリとナデシコが目立ち始めた。8合目あたりから頂上にかけてマツムシソウが見られるはずだが、さすがにこれも早かった。あと1カ月待って、もう一度来てみようか。

 山頂で飯を食っていると、紫の濃い花が目についた。花弁の中央に黄色の筋。ノハナショウブであろう。先に書いたように、この山には日陰がなく、湿地もない。アヤメ科の花は池のほとりなどに咲く印象がある。こんなところで見るとは、意外だった。草原を探すと、数輪がかたまって咲いていた。

 暑さのため、そこそこに山を下りた。林道を迂回するルートを取った。途中のあずまやのあたり、路傍にキキョウを見つけた。キキョウは結局、この一輪だけだった。

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控えめに「熊注意」の看板。それにしても立派な「登山口」の標識

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むせかえるような緑

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山頂が見えてきた

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はるか下にあずまや。下山路はあの小屋を経由した

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山頂についたころ、雲行きがあやしくなった

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ウツボグサ

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オカトラノオ

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ササユリ

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ナデシコ

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ノハナショウブ

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一輪だけ咲いていたキキョウ

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