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九州幻視行~黒岩山・ミヤマキリシマの散歩道 [九州幻視行]

九州幻視行~黒岩山・ミヤマキリシマの散歩道 

 6月12日、黒岩山(1502㍍)=大分県九重町

 午前8時。標高1330㍍にある牧ノ戸峠駐車場は車であふれていた。無理もない。九重連山に咲くミヤマキリシマが見ごろであるのに加えて、大きな雨雲が九州に近付いているのだ。きょうの昼過ぎまで、この青い空は持つだろうか。雨になればこの地方に入梅宣言が出る。天気が崩れないうちにと、競ってミヤマキリシマを見ようとする車列なのだ。

 午前5時。宿で目を覚まして朝焼けを見ていた。東の空に、昨日登った由布岳の特徴ある山頂が突き出す。その上にはくっきりと笠雲。天気が崩れる前兆だ。

 当初は牧ノ戸から九重連山を縦走し、法華院温泉へと向かう計画だった。しかし、気が変ってしまった。向かいの山、黒岩へ向かうか。ここのミヤマキリシマも、平治岳に比べるとややスケールは小さいが見ごろという。ときには九重を見ながらの山歩きもいいかもしれない。北アルプスでいえば槍・穂高を眺める蝶、常念の稜線、南アルプスでいえば北岳を眺める鳳凰三山のような趣。喧噪のない、静かな山を歩きたい。

 峠からしばらく急登が続く。しかしそれも30分ほど。あとは緩やかな稜線。黒岩山の頂上ではマイヅルソウやアカモモ、ドウダンツツジも見ることができた。そして何より、九重の雄大な山容をバックにしたミヤマキリシマが素晴らしい。三俣の向こうには平治、大船の斜面も見える。頂上付近から赤く染まっているのが分かる。

 そのうち、九重の山はガスに包まれ始めた。前線が近付いている。標高で200㍍低い分だけ、こちらは青空が広がる。なんだか変な気分だ。あくまでも緩やかな稜線を、ミヤマキリシマを求めて歩く。時折、すれ違う人がいる。

 昼ごろ、長者原に下りた。見越したように、小さな雨が降り始めた。

 
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九重連山を見ながら咲くミヤマキリシマ 

 
 
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 黒岩山の近く、大崩の辻で

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 中央、三角のとがった山が九州本土最高峰・中岳

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 昼近くになるとガスが出始めた

 
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ドウダンツツジ。バックは牧ノ戸峠 

 
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 アカモモ。黒岩山の頂上で

 
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マイヅルソウ。黒岩の頂上で 

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朝焼けの由布岳。笠雲がかかる 


九州幻視行~由布岳・屹立する美しさ [九州幻視行]

九州幻視行~由布岳・屹立する美しさ
 

 6月11日、由布岳(1583㍍)=大分県湯布院 

 あれはいつのころだったか、思い出すこともできないほどの昔になってしまった。広島から別府港へ定期航路があった時代である。仕事を終え深夜11時ごろの船に乗り込む。伊予灘から別府港へ入ると、桟橋はそぼ濡れていた。霧のような雨が降り止まない。畳がある港の待合室でひと寝入りした後、始発のバスに乗った。1時間余りで登山口に着く。仰ぎ見る山頂はガスに包まれていた。眺望のないまま山頂へと向かった。

 2度目の由布岳は、青い空の下にあった。標高770㍍から800㍍余り、双耳峰は新緑を従えて見事に屹立していた。その美しさを見れば、古くから数々の伝説をまとってきたのも分かる。「豊後富士」などと通俗の極みで呼ぶことはない。ただ由布岳と呼べばいい。

 正面の登山口から気持ちのいい草原が広がる。左手に標高1000㍍ほどの小さなピーク。飯盛が城と呼ばれる。間もなく樹林帯に入る。気温25度。日差しが遮られ、心地いい。左へ大きく迂回すると合野越と呼ばれる分岐に出る。そこからしばらく、樹林帯のジグザグが続く。

 ふと、視界が開けた。道の周辺の樹が、腰ほどの高さになったのだ。眼下に広がる温泉街。はるか遠くに九重の山並みがかすむ。前回は見ることのなかった景色が、目の前に広がる。仰ぎ見ると双耳がのしかかるように頭上に迫ってくる。手前にはミヤマキリシマが鮮やかなピンクの花を競う。数は少ないが、いまが満開の時期だ。つづら折りの道は直登に変わる。喘ぎながら登りきると東西の峰への分岐に出る。東峰へと向かう。

 予想していなかったが、頂上のすぐ下にはイワカガミが咲いていた。巨木の陰でひっそり咲くものと思っていた小さな花が、日差しを浴びて群生している。イワカガミは、九州では陽性の花らしい。そして目をこらさなければ分からぬほど小さな花、バイカイカリソウはさすがに草の陰でひっそりとたたずんでいた。

 登山口で振り返った由布岳は、傾きかけた日を浴びてやはり見事に屹立していた。

 
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見上げた双耳の手前にミヤマキリシマが点在する

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今が見ごろのミヤマキリシマ 

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天空を行くかのような登山道は眺望がすばらしい 

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 イワカガミが日差しを浴びて群生していた

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火山の面影を濃厚に残す由布岳 


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