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四国幻視行~快適な稜線歩き・剣山 [四国幻視行]

四国幻視行~快適な稜線歩き・剣山

 

 5月1617の両日、四国第2の高山・剣山(1955㍍)に登った。剣といえば北アの剱岳が連想され、裏剣から見た天へ伸びる岩峰がその名の由来を思わせるが、剣山は名前と違ってなだらかな山である。周囲の山々ともミヤマクマザサの稜線でつながれ、荒々しいイメージはない。山名のいわれは、頂上直下の大岩・宝蔵石の下に安徳天皇が剣を埋めたためという説、中腹の大剣神社のご神体である高さ50㍍の巨岩が剣に似ているためという説の二通りあるようだ。

 広島から東へ走り、児島―坂出間の瀬戸内自動車道を渡って松山自動車道と徳島自動車道をひた走って美馬市内から山間部を縫う国道438号を伝い見ノ越に着く。休憩を入れざっと5時間の行程である。それでも、昔に比べれば高速道が整備され、走りやすくなった。

 見ノ越からは、標高差300㍍を15分で上がるリフトを利用。そこからさらに1時間弱歩くと剣山頂上ヒュッテ小屋である。荷物をひとまず置き、一ノ森(1879㍍)まで往復。片道約1時間である。ガスがかかって眺望は望めなかった。

 翌朝、ヒュッテから剣山の山頂を経由して次郎笈(1930㍍)へ向かった。石鎚、剣山、石鎚山系二ノ森に次ぐ四国第4の山である。剣山から木製の階段で急降下した後、ササ原のなだらかな稜線を歩く。三嶺(みうね)へ16000㍍とある標識を右に見て、直登にかかる。ここからは結構な急登。しかし、しばらく我慢すれば釣り尾根につく。雲上を行く気分をつかの間味わって頂上へ。剣山から約1時間。360度の展望である。ほぼ西の方角に三嶺への稜線が望める。快適そうだが16㌔は長い。

 剣山との鞍部に下り、剣山をトラバースする道を行く。水平に切った道で歩きやすいが、途中で崩落のため通行止めとなり、大剣神社へ登り返すよう標識がある。急登を我慢して神社の境内。山名の由来の一つとされる大剣岩が、神社の背後にそびえる。ここからは下りの山道。600㍍ほど行けばリフト乗り場に着く。

 帰途は自動車道を今治まで走り、しまなみ海道を経由して広島へ。

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次郎笈との鞍部から剣山を望む

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次郎笈はなだらかな山である

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一ノ森へ

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 剣山から一ノ森への稜線。次郎笈の山頂から

 

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剣山の山頂。自然保護のため、木道が敷き詰められている

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剣山頂から次郎笈を望む

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大剣岩。そばに神社の屋根が見える


中国山地幻視行~快晴の山頂・恐羅漢山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~快晴の山頂・恐羅漢山

 

 5月14日、恐羅漢山(1346㍍)。駐車場に10台はいただろう。この山では滅多に見ない光景である。さすがにこの季節、気候がいいと人が集まる。カラフルなウェアに身を包んだ若い人が多い。身支度がすみ次第、登山道に向かった。

 新緑がまぶしい山頂には誰もいなかった。駐車場で見た人たちはどこへ行ったのだろう。ほとんどは夏焼峠経由で登ってくると思われる。こちらはいつも、スキー場のゲレンデ横を直登する。時間を短縮できるが、その分面白くはない。特にこの新緑の季節、もったいないと思っても不思議はない。おそらく、その時間差のせいであろう。

 快晴の山頂の大岩から北東を眺めると、深入山の北側に臥龍山が望める。周囲には標高1000㍍ぐらいのなだらかな山容が連なる。典型的な西中国山地の景色だ。昼飯にかかる。そのころになると、三々五々人が集まり始めた。山頂の標識の周囲には10人ぐらいが陣取った。その標識、じっと見ていると、側面にメジャーがはってある。最近はられたものか、昔からあるものかは分からない。積雪量を測るためらしい。最高で2㍍60㌢まで目盛りが刻んであった。

 下山は夏焼峠を回った。登山の列がまだまだ続いた。

 この山はちょうど1か月半ぶりである。その間に、山は冬から夏に、一足飛びに表情を変えていた。


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正面左が臥龍山、右が深入山。西中国山地の典型的な景色である

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ムシカリ(オオカメノキ)。この季節、最も目立つ花である

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ショウジョウバカマ。季節も過ぎ、疲れた表情である

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山頂の標識。付近には誰もいなかった

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横にはメジャーがはってある

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昼飯を食っていると、人が集まり始めた

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新緑のトンネル。小さな看板には「滑走禁止」と書いてある。
つまり、看板より向こうがスキー場、手前が登山道である

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夏焼峠への道

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夏焼峠から右へ、ゆるゆると牛小屋高原に向かう

中国山地幻視行~山は表情を変えていた・吉和冠 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~山は表情を変えていた・吉和冠

 

 山はすっかり表情を変えていた。

 そういえば、季節はもう初夏である。新緑が色濃く、山には生気がみなぎっている。路傍には名も知らぬ小さな花が咲き競う。ついこの間までの雪に覆われた山ではない。

 5月8日、吉和冠(1339㍍)。ほぼ快晴。気温をチェックすると27度。沢の水音が心地よい季節である。

 山頂近く、ひそかな楽しみのポイントがある。イワカガミの小さな群生。みると、小さなつぼみがまだ固く、じっと時を待っていた。

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登山道の入り口。鉄の橋を渡るとき、足音が沢に響く

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新緑と青空。いい季節だ

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見渡す限りの新緑

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山頂付近

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イワカガミのつぼみ

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イカリソウ

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スミレ

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オオカメノキ

中国山地幻視行~大山とカタクリ・船通山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~大山とカタクリ・船通山

 

 「富士には月見草がよく似合う」とは太宰治の「富嶽百景」で、月見草という小さな存在が富士山と相対して引き下がらぬ凛とした姿への共感をうたった。富士は「日本一の山」といわれるが、さしずめ中国地方一の山は大山であろう。深田久弥の「日本百名山」にも、中国地方からは大山だけが選ばれている。この大山に相対し、一歩も引かぬ存在としてカタクリの花を上げるのは、無謀なことだろうか。

 5月2日、広島市内から中国自動車道経由で船通山に向かった。島根・鳥取県境にあり、広島県境にも近い。広島県北の庄原ICから山間を縫い、鳥取県の日南町に入ったところで島根県の横田方面に向かう県道15号を走る。しばらく行くと右手に林道があり、「船通山」の標識がある。まぶしい新緑の中に登山道がある。

 駐車場には既に何台かいたが、満車ではなかった。端っこに車を置き、支度にかかる。登山道を10分ほど登ると、「健脚向き」と「一般向き」に分かれる。一般向きを選ぶ。距離はやや長いが、道は整備され歩きやすい。

 山頂が近くなったころ、数人の登山者が下りてきた。「カタクリは咲いてますか」と声をかけた。「咲いてますよ」と返事があった。

 「満開ですか」

 「ええ…、でも今年は少ないみたい、とほかの人が言ってました」

 この山の頂上付近は広い草原状で、あたり一面にカタクリが咲く。この花はひっそりと咲く印象があるが、この季節の船通山の景色は、ほかの山のカタクリのそれとは全く違っている。しかし、今年の船通山は「あたり一面」というには、確かにまばらな印象があった。

 それでもマクロレンズを、花弁に向ける。寂地山と比べて、船通山のカタクリは紫が濃い。日の当たりかたが違うためだろうか。

 一息ついて、周りの山を眺めた。薄い雲があるものの、快晴である。東に目をやると、ひときわ存在感のある山容があった。大山である。頂上から麓にかけ、残雪が筋状に伸びる。船通山の北東、直線距離にして47㌔向こうにある。左には日本海の海岸線があった。この山には、濃い紫の花弁を持つカタクリの花がよく似合う。

 

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カタクリの花Ⅰ

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カタクリの花Ⅱ

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カタクリの花Ⅲ

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カタクリの花Ⅳ

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カタクリの花Ⅴ

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大山遠望

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神話にまつわる剣の碑と大山

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イカリソウ

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ネコノメソウ

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山里の道路脇には八重桜