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中国山地幻視行~紅葉の比婆連山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~紅葉の比婆連山

 

 息を切らして池の段の登りを登り切った。冷気と湿度を含んだ風がほほをなでた。思わず後ろを振り返った。紅葉の比婆山にガスがかかり始めていた。比婆山の山頂付近は雨かもしれない。

 牛曳山はここ2、3年、紅葉の時期に登っている。今年は比婆山にするか。六ノ原の事務所で、念のため聞いてみた。比婆山は100%、牛曳は60%ぐらい、と返事があった。やはり比婆山に、と決めて歩き出した。

 誤算があった。比婆山の紅葉はあくまで遠望で楽しむもので、中を歩いて楽しむものではなかった。だから、出雲峠から池の段まで、ほとんど何の楽しみもなかった。その分、池の段と立烏帽子の紅葉は見事であった。しかし、冒頭に書いたように低い雲が山頂に迫っていた。日差しに輝く紅葉は見られなかった。それが心残りであった。

 

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烏帽子岩から見た比婆山

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池の段(手前)と立烏帽子

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紅葉の立烏帽子

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池の段



中国山地幻視行~瀬戸の絶景と四国山地・七国見山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~瀬戸の絶景と四国山地・七国見山



 瀬戸内海のほぼ中央、広島県・上蒲刈島の七国見山(457㍍)に登った。正確に言えば中国山地ではないのだが、ここでは便宜上「中国山地幻視行」の一編とさせていただく。

 なんだ、500㍍もない山か、と思われそうだが、登山口は海抜ゼロ㍍にあり、正味登らないといけない。そのうえ、島の山にはよくあることだが、ほぼ初めから終わりまで急登である。山道は階段状に作られていたが、かなり荒れて崩壊状態だった。近年、登る人もいないらしい。

 それでも時々振り返ればベタなぎの瀬戸内海と、その上にそびえる四国山地の眺望が楽しい。雲上に連なる高峰は石鎚、笹ヶ峰、東赤石山であろう。いくつかとがったピークが見える。どれが石鎚であろうか…。

 1時間ほど登ると、林間の稜線歩きになった。緩やかなアップダウンを繰り返すと、目の前に木造の展望台が現れた。山道の両側は雑木林で眺望がきかないため、つくられたようだ。見ると、四国側は伐採されている。あらためてじっくりと四国山地を眺める。はるか下には海岸沿いに造船所らしきもの。位置からすると来島どつくであろう。

 帰途は別ルートを下った。途中から標高100200㍍の、島を巻く舗装道の長いロードになった。見れば雑草が生い茂り、ところどころ舗装も剥げて使われている痕跡がない。山頂付近にあった案内板によると、かつては入り組んだ海岸線に道路を通す技術がなく、そのうえ海賊の襲来を恐れた島民が住居や田畑を島の中腹に作ったため、このような鉢巻き状の道が作られたが、今は海岸沿いの道がメーンになったため利用されなくなったようだ。

 山名の由来は、安芸、備後、備中、伊予、讃岐、周防、豊後の七つの国が見えるというところから来ている。

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典型的な瀬戸内海の風景Ⅰ

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典型的な瀬戸内海の風景Ⅱ


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雲上にそびえる四国山地。海岸線にあるのは来島どつくであろう


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多島美と四国山地




中国山地幻視行~黄金と青の競演・三倉岳 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~黄金と青の競演・三倉岳



 1010日、最近になく空は晴れた。おまけに今日は「体育の日」。三倉岳にとりつくと、結構な数の人たちが追い越していった。汗をぬぐい、やり過ごした。若い人が多い。しかし、頂上へ向かう人はほとんどいない。山道の左右に点在する思い思いの岩場に取り付いたようだ。かくして、あくせく登る我が頭上で、セミの声ならぬ人の声が飛び交う。

 山頂から見下ろすと、黄金に揺れる稲田が目に入る。風は冷たい。青空に薄く伸びる雲が秋らしい。

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夕陽岳の頂から

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秋の雲

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紅葉

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実りの秋

中国山地幻視行~秋はいつ来る・吉和冠 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~秋はいつ来る・吉和冠


 この山は広い裾野と、三角形にとがった山頂付近で成り立っている。その頂上直下にたどり着いたとき、頭上から声がした。目を上げると、人が立っていた。一人ではない、数人だ。と思ったらその数は10人以上に増えた。山頂から降りてきたグループに違いない。道をよけてくれ「どうぞ」という。「いや、ここで休みますので」と答えて、脇に腰かけた。クマよけに、と思って鳴らしていたラジオから春日八郎の「お富さん」が流れてきた。「粋な黒塀、見越しの松に…」。降りてきたグループの一人が「あら、懐かしい」。どうやら、同じ年恰好らしい。ラジオではMCらしき人が懐かしんで、子供のころ意味も分からず歌っていた、と話したが、その通りだった。そのうち誰かが「一人ですか」と聞くので「そうです」と答えたら、この山で人に会ったのは初めて、という。アマゾンあたりのジャングルでもあるまいし、と思ったが、こちらも同じであった。

 10月2日、日曜日。久しぶりに雨なし予報。そこで、この山に取り付いたが、晴れているとはいえ湿度が高い。汗が噴き出す。これでは雨に降られているのと変わりない、と思いつつ、人気のない道を登った。日曜というのに頂上直下まで孤独な旅だった。このところの雨続きで、沢は水量を増しごうごうと音を立てていた。クマよけの鈴だけでは心もとなく、ラジオもボリュームいっぱいにあげた。途中、腐った倒木に無数のひっかいた跡があったが、クマの仕業ではないか。腐木に潜む虫でも狙ったか。

 山頂から眺める山並みは白いベールの向こうだった。日の当たるあたりがかすかに浮き上がった。不思議な光景だったが、爽快ではなかった。気温24度。それなりに風は冷たいが汗は止まらない。天高く爽快な秋はいつ来る。


 

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杉林の道は雨上がりのようだった

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沢はごうごうと流れていた

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かじったのはクマか

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山頂付近から。かすむ山並み

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山頂も、もやっていた