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中国山地幻視行~残雪の羅漢山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~残雪の羅漢山 

 羅漢とは阿羅漢の略で、修行僧を指す。ものの本によると、羅漢山という山には奇岩が並び立ち、遠望するとそれらが修行僧のように見えてこの名がついたとされる。しかし、我々からするとこの山に奇岩のイメージはなく、お椀を逆さにしたような半円形の整然とした山容のイメージが強い。いま「羅漢山」と聞いて、修行僧のイメージを思い起こす人は少ないのではないか。なお、この山の北方には恐羅漢山という広島県の最高峰があるが、この山名の由来も羅漢=修行僧から来ている。
 3月22日、広島・山口県境の羅漢山(1109㍍)に登った。春分を過ぎてなお、残雪を求めての山行である。しかし、期待を裏切って残雪は山頂付近に名残をとどめるのみであった。むしろ羅漢の北、西中国山地の高峰が居並ぶあたりに白い峰々がきらめいていた。
 羅漢の山麓、標高1000㍍付近には牧場やキャンプ場、スキー場が整えられている。そのうちの、キャンプ場近くの駐車場に車を入れた。シーズンではないので貸し切り状態であった。頂上まで標高差150㍍ほどである。ゆっくり行って1時間ほどと見通しを立て、歩き始めた。
 ところが、標識を確かめて山道に踏み込んだにもかかわらず、針葉樹の植林帯の中で迷ってしまった。途中で道が消えたのである。ササや雑草を踏み分け、見当をつけて歩くうち、なんとか道らしきものを見つけられたからよかったが、もし見つからなかったら…と一瞬だが冷や汗ものだった。
 ルートを見つけてしまえば、後は登るばかりである。しばらくして「小羅漢まで0.2㌔」と表示した標識を見つけた。寄ってみると立派な展望台がしつらえてあった。上ると正面に吉和冠から寂地、右谷山へと続く稜線が広がった。
 この山の頂には、不思議なものが二つある。一つは、雨量を測定するためのレーダー塔で、建てたのは国土交通省。レーダーによって半径300㌔の範囲の降雨状況を測定するという。気象衛星の精度が格段に上がった現在、こうしたものが必要なのかは、素人には分からない。もう一つは、「磁石岩」。2億数千年前から8千年前にかけて地殻変動や岩石変成作用によってできた橄欖(かんらん)岩が強い磁力を持つに至ったとされる。なぜそうなったかは、これも素人なので分からない。とりあえずコンパスを近づけたところ、針が一回りしたので、名前に偽りなしと確認した。
 山頂からは、小羅漢と同様に寂地、吉和冠、十方山がよく見えた。ところが、自宅で地図を見ながら確認したところ、羅漢から見て恐羅漢は十方のほぼ真裏に位置することが分かった。では、十方山の西に見える雪山は…。自信はないが、島根県の広見山ではないかとの結論に至った。


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頂上直下の山道

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頂上展望台横にわずかな残雪

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羅漢山頂の標識

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磁石岩。コンパスを近づけると針が揺れる

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雨量計測用のレーダー塔

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中央が十方山。その左(西)は広見山か

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右のとがった頂が吉和冠。左へ寂地山への稜線が延びる


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